ふるさと納税の謝礼品を業務用資産として利用した場合の課税関係
〔質疑事項〕
個人事業者であるAは、ふるさと納税により合計60 万円の寄付を行い、その返
礼品として時価10 万円相当のパソコン3 台を受取りました。
Aは、このパソコン3 台を自身の事業所得に関する業務の用に供しましたが、こ
れらのパソコンは、Aの少額資産(30 万円未満の経費算入)として経費計上が認
められるでしょうか。
また、認められる場合には時価を客観的に算定することになるのでしょうか。
返礼品の受取りは、一時所得になりますが、時価50 万円以内につき課税は生じ
ないものと考えております。
〔回答事項〕
ご指摘のとおり、いわゆるふるさと寄付金を支出した者が地方公共団体から謝礼
を受けた場合の課税関係において、その謝礼(品)による収入(経済的利益)は、
一時所得に該当することになるとされています(国税庁HP・質疑応答事例参照)。
従って、一時所得の計算において原則的には50 万円の特別控除がありますので、
当該金額に満たない収入については課税されないものと考えられます。
また、贈与を受けた非業務用資産を業務用資産(減価償却資産)として利用する
こととした場合の当該資産の減価償却費の計算(所得税法施行令第120 条から第
122 条までに規定する取扱い)に関しては、当該資産の取得価額は、同令第126 条
第1 項第5 号に規定するところにより「その取得の時における当該資産の取得のた
めに通常要する価額(時価相当額)」によるべきものと考えられます。
ところで、中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度
(租税特別措置法第28 条の2 第1 項)においては、その適用条件として「--平成
30 年3 月31 日までに『取得』し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、--事業所
得--を生ずべき業務の用に供した減価償却資産--云々」とあり、一定期間内におけ
る『取得』を一つの適用条件としています。
(減価償却制度、一般において相続、遺贈による取得に係る別段の規定はあるも
のの、)受贈資産に係る当該特例制度の適用の是非を判断するに当たって、この『取
得』の態様に地方公共団体(法人)からの『受贈』という形態を含むかどうかが問
題となりますが、同項に規定する適用除外規定には、特段、「有償取得に限るとか、
贈与による取得を除くとか」といった制限的規定に関する文言がないと認められる
ところから、法文上は、受贈も取得の一形態というべきものと考えられます。
無論、受贈品に係る経済的利益の額、すなわち収入額(所得)が事実上課税の対
象とされていないという、税負担の無い、換言すれば反対給付(対価)の支出がな
い取得資産について減価償却費の必要経費算入を認めることについて一見矛盾す
るような点がないわけではありませんが、仮に当該受贈品が高額であり、当該受贈
品に係る経済的利益の額が課税の対象となっている場合にあっては、当然のように
当該課税所得(収入)が取得対価であるとして、その受贈品に係る減価償却費の計
上を認めるという考え方が出てくるのではないかと考えられます。
また、公共団体からの補助金による減価償却資産の取得、補助制度における現物
給付資産についても当該減価償却資産に係る減価償却費の必要経費算入が認めら
れることからすれば、上記のように解することが相当と考えます。
だとすれば、収入についての課税所得計算(一時所得の課税関係)と事業所得等
の必要経費算入額の計算(減価償却資産の取得価額)とは、税法上自ずから異なる
別個の規定であり、其処に相互関連を求める必要はないと解することが相当と考え
ます。
なお、謝礼品の時価は10 万円/台であるとのことですから、少額な減価償却資
産として一括償却の取扱い(同令第139 条の規定の適用)を受ける場合にあっては、
当該年分の減価償却費として計上し得る額は、当該取得価額の合計額を3 年間で均
等償却した場合の金額になるものと考えます。

取引先の代理で輸出を行った場合の消費税還付の可否

 

(前提条件)

内国法人A社は内国法人B社から商品を仕入れ、日本に支店のない外国法人C社に輸出販売を行っております。

この場合において、A社はB社に商品代を支払っておりますが、

商品はB社倉庫からC社に直接発送されており、

通関における名義はA社になっている状況です。

A社は課税事業者であり、消費税の還付申告を行いますが、

B社は免税事業者です。

さらに、A社が消費税還付を受けた際には、B社に消費税相当額を追加で支払う

約束がされております。

(ご質問1)

上記前提の上で、上記商品について、A社がB社から本当に商品の仕入れを行ったかが税務上問題になると思いますが、

商品をB社からC社へ直接発送したことをもって、

A社側の仕入税額控除が否認されることがありえるでしょうか。

ちなみに、輸送費用はA社が負担しており、B社はA社に対し一定の利益を上乗せして販売しているものとします。

(ご質問2)

A社が消費税還付を受けた後の、

A社からB社に対する消費税相当額の支払いは、

当該輸出から数か月後に行われることになります。

仕入れ代金の追加支払いとして、法人税法上の損金算入が認められるでしょうか。

寄付金を認定される要素がありますでしょうか。

 

(回答)消費税の仕入税額控除の適用の可否

 消費税は、国内において事業者が課税仕入れを行った場合には仕入税額の控除を

することとされていますが(消法 30⑦)、仕入税額の控除をするためには課税仕入

れに係る帳簿及び請求書等の保存が必要となります(消法 30⑦)。

 また、消費税は事業者が輸出取引又は輸出類似取引を行った場合には、輸出免税

として消費税を免除することとしています(消法 7①)が、輸出免税の適用を受け

るためにはその取引が輸出取引に該当することの証明書等の保存が必要であり(消

法 7②、消規 5)、事例の輸出取引の場合には税関長の輸出許可書が証明書となりま

す(消規 5①一)。

 これらのことを踏まえて事例について検討すると、次のとおりとなります。

質問1について

 事例のA社とB社の取引を見れば、B社の国内倉庫渡しによりB社からA社の資

産の譲渡が行われたものであり、国内取引に該当することから、B社の課税売上げ、

A社の課税仕入れに該当し、A社はこの取引に係る課税仕入れの内容を帳簿に記載

するとともにB社から交付を受ける請求書等を保存することを要件として仕入税

額控除をすることは可能と考えます。

 消費税相当額の追加払いについても、その金額に係る帳簿及び請求書等の保存を

要件として仕入税額控除をすることが可能であることは同様と考えます。

 なお、消費税の仕入税額控除と輸出免税の適用は格別の取引として判定されるも

のであり、事例の輸出取引に係る資産の所在場所がB社の国内倉庫であることをも

って仕入税額控除ができないことにはならないものと考えます。

 したがって、上記の要件を満たしている限りにおいては、仕入税額控除を否認さ

れることはないものと考えます。 

 

(回答)還付消費税相当額の支払の可否

 

ご質問 2 の場合には、そもそも、ご質問の取引が A 社と B 社との間の売買取引な

のか、A 社による B 社の輸出販売の委託関係(名義貸し)なのかということが問題

です。この点は、ご質問 1 に関連する問題でもあり、ご質問の取引(スキーム)を

行う理由を問われることになると考えます。

仮に、A 社による B 社の輸出販売の委託関係(名義貸し)だとすると、輸出免税

に係る還付金相当額の支払については、その委託関係(名義貸し)を前提として処

理することになりますので、A 社においては、B 社からの仕入に係る代金、輸出販

売に係る対価及び輸出免税に係る還付金相当額につき仮勘定として処理すること

になると考えられます。

ただし、この委託関係(名義貸し)の場合には、B 社が免税事業者である場合に

は、脱法行為として問題視される可能性があります。したがって、B 社が免税事業

者の場合には、むしろ、課税事業者となることを選択して、B 社が輸出免税を適用

するということの方が現実的であると考えます。

また、仮に、A 社と B 社との間の売買取引である場合には、A 社における輸出免

税に係る還付金相当額を B 社に支払う理由はないと考えられます。この場合には、

寄附金として処理することが相当であると考えます。ただし、寄附金処理をすれば

事足りるといったものではなく、この取引そのものが不自然な取引として問題とな

る可能性があります。

ご質問の場合には、以上のような問題点を踏まえて検討する必要があると考えます。

 

事前確定届出給与の届出書記載の給与支払い日と現実の給与支払いが違う場合の取り扱い

 

(質問)

法人税における事前確定届出給与についてご質問させていただきます。
 届出書の付表においては、毎月の役員報酬について具体的な日付と金額を記入して提出することとなっておりますが、
 現実には、土日祝日や経営者の都合により必ずしもちょうどその日付での給与振込ができない場合があります。
 事前確定届出給与のうち賞与に相当する部分については、
 厳格に届け出をした通りの日付金額を遵守しない限り損金算入できないと理解しておりますが、
 定期同額給与に相当する毎月の報酬についても、
 付表に記載した日付を遵守しないかぎり損金算入に影響してしまうのでしょうか。

 

(回答)

支給日が休日の場合の定期同額給与
法人税法34 条や令69 条においては「支給時期」、「一定の時期」という規定があ
りますが、この「支給時期」については、一般に「支給日」であるといえますが、
その日が確定日であるということではないと考えます。それは賞与についてもいえ
ることで、土・日や祝日は、そもそも企業自体も休業し、金融機関も休業していま
すから、ご指摘のように、支給日が土・日や祝日に当たる場合には、「支給日」に
は事実上支給できない事態となります。このため、支給日が土・日や祝日に当たる
場合には、通常、その直前日や直後日に支給されますから、その直前日や直後日が
「支給日」となります。
したがって、支給日が土・日や祝日に当たる場合には、その直前日や直後日に支
給しているときは、税務上の問題は生じないと考えます。 

倉庫業に関する消費税の取り扱いについて

(質問)


B社では、中国にある取引先からの依頼により、日本での物流倉庫を運営しています。
具体的には、中国にいる消費者が日本のECサイト(楽天など)で購入した商品の、送り先としてB社の倉庫を指定してもらい、

複数の購入先から購入された複数の商品を梱包しなおしてから、

国際郵便で中国の消費者の自宅へ発送します。

B社においては下記の業務内容を行い、報酬を受け取っているわけですが、売り上げに関する消費税の課税区分をご教示ください。

(現実には1と2は一体となって「作業料」として収受しており、3については実費として先方に明示して請求しています。)

1、非居住者から指定された荷物(日本に所在)を梱包(し直しする)する作業

2、日本から中国へEMS(国際郵便)で発送する手間賃

3、日本から中国へEMS(国際郵便)で発送する実費

(上記3について立替金として不課税扱い、または国際輸送として免税売り上げ扱いができればよいのですが、もし課税売上という解釈になるのであれば、対応する支出がEMS料金という不課税の支出であるため、消費税の納税が大きくなることが予想されます。)


(回答)

国際郵便に係る手続に係る課税関係
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等を課税
対象としています(消法4①)。
なお、消費税の課税対象となるものであっても、輸出取引及び一定の輸出類似取
引については輸出免税として消費税を免除することとされています(消法7、消令
17)。
事例の取引は、取引の事実関係等が明らかでないことから断定的な回答はできま
せんが、国際郵便を利用した輸出取引としてB社が輸出者に該当する場合には輸出
としての資産の譲渡等として輸出免税の対象となり、国内において輸出のための手
間賃等については、輸出の許可を受ける前の段階の役務の提供であることを前提と
すれば、課税対象になるものと考えます。
これらのことを前提として事例について検討すれば、次のとおりとなります。
質問1,2について
質問1及び2の取引の対象となる商品は、これらの役務の提供を行う段階では輸
出の許可前であり、内国貨物に該当すると認められますから、内国貨物に係る役務
の提供として課税対象になると考えます。
なお、この場合の手数料を誰から受領しているのかが明確ではありませんが、仮
に国外の事業者(非居住者)から受領する場合であっても、国内に所在する資産の
運送に付随する役務の提供として課税対象になるものと考えます(消令17②七)。
質問3について
質問3の国際郵便の輸出者がB社になっているのかそれ以外の者になっている
のかが明らかではありませんが、いずれの場合であっても郵便料金が輸出免税の対
象となることは明らかであり(消令17②五)、この費用をB社が自己の費用として
処理する場合には輸出免税に係る支払いとして仕入税額控除の対象とはならない
と考えます。
なお、この場合において国際郵便料金を含めた金額を代行手数料とする場合には、
その全額が課税対象になるものと考えます。
次に、それ以外の者が輸出者となっている場合には、B社の支出を明確に立替払
いとして処理していれば、その処理は認められるものと考えます。
したがって、事例の場合には、国際郵便料金については立て替え払いの処理をし、
B社においては国際郵便料金に係る料金負担はないものとして処理することが妥
当な結果になるものと考えます。

仕入値引きの計上時期について

 

質問

 

工業部品の輸入販売における仕入値引きの計上時期についてご質問させていただきます。
A社では外国から工業部品を輸入し、日本の客先の倉庫に直接納品しています。
製品の内容に不具合がある場合、または輸送中の事故(海水や雨水に浸食されてしまうなど)により製品の品質が思わしくない場合に、客先からクレームが入り、
売上金額の減額(値引き)をせざるを得ない場合があります。
この場合、弊社は外国の仕入れ先に対し仕入れ金額についても値引きの要請を当然いたしますが、仕入れ先は出荷時に製品内容のチェックを行っていることもあり、簡単に減額に応じることは稀であり、
仕入値引きの可否が判明するのは数か月を要する場合がほとんどです。
(仕入れに関して基本契約書などは存在せず、つどつどオーダーシートと請求書のみで取引しています。仕入れ値引きについては、今後も含めた取引量などの全体的な交渉の中で初めて認められるようなニュアンスがあります。)
そこで具体的なご質問ですが、
(質問1)
売上値引きを計上した年度において、仕入値引きが確定しない場合、仕入値引きについては翌年度以降の益金として法人税の申告を行うことは問題があるでしょうか。
(質問2)上記に問題あるとすれば、
「売上値引きと仕入値引きを期間対応させるべき」という考え方でしょうか。
もしくは、「商品の不具合が生じた時点で、仕入れ先が認める認めないにかかわらず、仕入れ先に対し返金請求権が生じているのだ」という考え方でしょうか。
ご教示いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

回答

売上値引と仕入値引の対応関係
ご質問の場合には、ご質問を見る限り、A社の売上値引の原因が生じたことによ
り、抽象的には、仕入値引を請求し得る事実が生じたということがいえます。しか
し、売上値引に係る事実が即仕入値引となる事実となるかという点では、その生じ
た事実と責任の所在が必ずしもリンクしていないと考えられます。そうすると、売
上値引と仕入れ値引とが同時に発生せず、仕入値引については別途確定させなけれ
ばならないという法律関係にはなっていると考えられます。
したがって、ご質問の場合の売上値引と仕入値引につき、「同時両建て」をする
必要はなく、仕入値引が確定した段階で値引処理をすれば良いと考えられます。

 

 

入社予定者に対する紹介料の支払い

 

質問

 

A社は新しく幹部として入社するB氏(個人)に対し、
B氏が前職から引き継いできた仕事の案件に対する紹介料として、
雇用契約の対価とは別に、
200万円を支払う旨、口頭で合意しております。
なお、この仕事については今後数年継続して収益が期待できるものです。
A社でのこの200万円の支払いの経理処理及び法人税での取り扱いについてご質問させていただきます。
質問1、200万円については税法上の繰延資産に該当し、複数年での償却を行う必要があるでしょうか。
質問2、この200万円について所得税法35条(雑所得)、所得税法基本通達35-1(9)に規定する転職の支度金として支給することも検討しております。
その場合には、A社の当事業年度の損金とすることが可能でしょうか。

 

回答

社員の引抜料等の取扱い
ご照会事例における「仕事の案件に対する紹介料」が具体的にどのようなものな
のか、また,その支出の効果が支出後1 年以上に及ぶのかどうかなどが判然としま
せんので確答はできかねます。
仮に、ご質問のように、転職の支度金として所得税法204 条7 号に該当(所基通
204-29、35-1(10)参照)する場合に、法基通8-1-12 の取扱いにより繰延資産に該当
するのではないかという疑義と思われます。
当該取扱いは、プロ野球選手等自由職業者(事業所得者)と専属契約をして一定の
役務提供を受けることを前提に支出する契約金等は、その支出の効果が契約期間全
般に及ぶものと認められることから繰延資産として取り扱うこととされています。
ご照会事例における支出金が、雇用契約を締結する際のいわゆる引抜料(契約金)
である場合には当該取扱いの適用はなく、支出時の損金処理が認められると考えま
す。

 

割賦契約による飲食店内部造作設備の取得について

 

質問

 

所有権留保付き割賦販売契約により、飲食店の内装工事一式を契約した場合の、法人税、消費税の処理についてお尋ねさせていただきます。
質問1 購入者側においては消費税の延払い基準の適用がなく、利用開始(引き渡し)の時期に工事総額に対する仕入税額控除を行うという認識でよろしいでしょうか。
質問2 購入者の法人税における取り扱いは、通常の資産取得と同じく減価償却を行えばよろしいでしょうか。
質問3 添付のとおり、割賦料金の支払予定表の1か月ごとに消費税が計算されていることについては、上記質問1の趣旨から、理解しかねるのですが、どのような意味合いであるか、ご見解を伺えれば幸いです。
以上、よろしくお願い申し上げます。

回答

1 質問1 について
課税仕入れに延払基準の適用はありませんし、消費税法基本通達11-3-2 は、
割賦購入の方法等による課税仕入れを行った日について、当該資産の引渡しを受
けた日とする旨を定めていますから、ご検討のとおり、当該内装工事費用の全額
を工事業者から引き渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理
すべきことになります。


2 質問2 について
法人税法第31 条は、減価償却費の計算期間の始期を減価償却資産の取得の日
とする旨を規定し、同法施行令第59 条1 項1 号は、事業年度の中途で事業の用
に供した減価償却資産の償却費は月数按分により計算する旨を規定しています
ので、これらの規定に従って減価償却費を計算すべきことになります。また、法
人税基本通達7-3-2 は、割賦購入資産等の取得価額について、その契約において
購入代価と割賦期間分の利息及び売主の代金回収のための費用等に相当する金
額が明らかに区分されている場合には、取得価額にその利息及び費用相当額を含
めないことができるとしていますので、この点も検討すべきことになります。


3 質問3 について
添付の「お支払予定表(請求書)」を見ますと、店舗内装設備の契約額が
9,216,000 円でこれに対する消費税額が737,280 円とされており、この金額を48
回の分割払いとするため、1 回当たりの支払額は、本体部分192,000 円と消費税
部分15,360 円の合計207,360 円になることを示しているものと認められ、課税
仕入れの時期とは関係がないと考えられます。なお、課税仕入れの時期について
は、上記1 に記載のとおりです。

 

 

マンション管理組合が解散し修繕積立金の全額が返金された場合

質問

個人の不動産所得の計算上の、修繕積立金の処理について伺います。

A氏(個人)は5年前に、築20年経過の区分所有マンションの1室を購入し、
他者へ賃貸しておりました。
A氏が購入して以降の不動産所得の計算においては、
修繕積立金の支払いについて、
添付の資料の要件を参考にし経費処理をしてきました。
このたび、このマンションの建て替え事業が決定し、
管理組合が解散することになり、各所有者に対し、
過去に支払った修繕積立金の全額を返金するとの通知がありました。
この場合に、A氏は所有者になってからの5年間で支払った以上の
金額の修繕積立金の返金を受けることになる見込みですが、
この金額は不動産所得の収入に計上すべきものでしょうか。
それともほかの所得区分が考えられるのでしょうか。

 

回答

当該マンションを建築当初から所有して賃貸の用に供していた場合、マンション
の建て替えが決定して、管理組合が解散することにより修繕積立金の返金を受ける
場合は、従前不動産所得の必要経費に算入していたものの返金ですから、返金時の
不動産所得の総収入金額に算入すべきものと考えられます。
中古マンションを取得する場合、前所有者に修繕積立金の未払額があるか、従前
の修繕積立金の金額がどの程度になっているかなどのことは、その取得価額を決定
する上で考慮すべきことと考えられますが、これは当該マンションに係る権利義務
の一切を新規取得者が引き継ぐことになることによるものと考えられます。したが
って、前所有者が支払った修繕積立金と自己が取得後に支払った修繕積立金を別々
のものと考えるべきではありませんから、ご質問のような場合も、修繕積立金の返
金額は返金時の不動産所得の総収入金額に算入すべきものと考えます。

 中間省略登記と非居住者への不動産譲渡の場合の源泉徴収義務

 

質問

非居住者が日本にある不動産を内国法人に対して譲渡する場合には、
源泉所得税を10.21%徴収することとされております。
この場合において、添付ファイルの例のように、
非居住者Aが内国法人Bへ譲渡し、Bが別の内国法人Cに
譲渡する中間省略登記、が行われることがありますが、
この場合の源泉徴収義務者は内国法人Cになるという理解でよろしいでしょうか。
実際に代金を支払ったものが源泉徴収義務を負うという考え方でよろしいでしょうか。

 

回答


非居住者Aが自己の国内所在の不動産を内国法人Bに譲渡したものであれば、税
務上は、その不動産登記の状況の如何(中間省略登記の存否の如何)に関わらず、
当該不動産の譲渡対価は、内国法人Bから非居住者Aに支払われることとなるもの
と解します。
ご照会に添付された「中間省略登記」の理解は、いわば「第三者(ご照会の場合
は内国法人C)のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移
転」或いは「買主(内国法人B)の地位を譲渡した場合における売主(非居住者A)
から買主の地位の譲受人(内国法人C)への直接の所有権の移転登記」における、
その登記を容認する考え方に基づくものですが、この考え方は、あくまでも不動産
登記法上の解釈であって、税務上、私人間の契約によってその納税義務(源泉徴収
義務)が転々と異動する筈もなく、少なくとも、税務上においては、内国法人Bが、
一旦、非居住者Aから当該不動産を譲渡契約により取得した場合にあっては、当該
不動産の譲受人(買主)は、あくまでも内国法人Bであり、当該譲渡契約に係る不
動産の対価は、内国法人Bから非居住者Aに対して支払われるものと解するのが相
当と考えます。
仮に、実際にその対価相当額が当該不動産を内国法人Bから転得した内国法人C
によって非居住者Aに支払われている場合であっても、内国法人Cによるその支払
は、あくまでも内国法人Bが非居住者Aに対して負っている「不動産取得に係る支
払債務」を内国法人Bのために代位又は代理して、当該債務の弁済を行っているも
のと解し、課税関係を整理することが相当と考えます。
代位支払又は代理支払の法的効果は、本人(内国法人B)について生ずるもので

あるところから、結果、内国法人Cは、その支払に当たって内国法人Bの名の下に
所得税の源泉徴収を行い、かつ、内国法人Bを源泉徴収義務者とする納付書を作成
して当該支払の日の属する翌月10 日までに内国法人Bの納税地を所轄する税務署
長に対して当該税額を納付すべきものと考えます。

非居住者に対する家賃の支払に係る源泉徴収義務者

 

〔質疑事項〕
非居住者Aは、日本でマンション等の不動産を購入し、これを日本法人C社に同
社の社宅として貸し付けました。
所有者A(非居住者)は、不動産管理会社B社を通じて、C社から社宅の家賃を
受取っていますが(C⇨ B⇨ A)、この場合、家賃に対する20.42%の源泉徴収義
務は、不動産管理会社B社と日本法人C社のどちらが負うと解すべきでしょうか。
〔回答事項〕
不動産賃貸契約の具体的な取決めの内容が明らかでありませんので、確答には到
りませんが、一般的には、不動産管理会社は、単なる仲介・不動産管理業務等、マ
ンション所有者のための代理行為を行うものと考えられ、当該契約により非居住者
Aに対して家賃支払債務を負う者は、借主である日本法人C社であると考えられま
す。
従って、当該債務に係る債務者であるC社は、代理人であるB社を通じて非居住
者Aに対して家賃の支払を行うものの、所得税の源泉徴収義務までを含め、当該支
払に係る納税義務を私人間の契約で異動させることは認められませんので、本来債
務者であるC社において所得税の源泉徴収義務を負うべきものと考えます。
そこで、C社は、家賃の支払額から20.42%の税率によって徴収した源泉所得税
相当額を控除した額を、B社を通じてAに支払うことになるものと考えます。

飲食事業における会計伝票の破棄と青色申告の取り消し

 

質問

 

飲食業を営む個人事業主が会計伝票を廃棄した場合について

個人事業主として飲食業を営むAさんは、店舗の売り上げに関する会計伝票及び

レジペーパーを廃棄し、

日々の売上金額を自身のメモ帳に記入することによってのみ、

売上金額が確認できる状態となっております。

このような場合、資料が不完全であるとして、

青色申告の取り消し処分を受ける可能性があるでしょうか。

(前提条件として、これ以外の資料・帳簿に不足はないものとします。)

 

回答

 

青色申告の承認の取消しについて規定する所得税法第150 条1 項1号は、青色申

告の承認を受けた業務に関する帳簿書類の備付け、記録又は保存が同法第148 条1

項に規定する財務省令で定めるところに従って行われていない場合、税務署長は青

色申告の承認を取り消すことができるとしています。

上記所得税法第148 条1 項に規定する財務省令とは、同法施行規則56 条(青色申

告者の備え付けるべき帳簿書類)を指し、同条は、青色申告者が備え付ける帳簿書

類について、同規則57 条から64 条の規定によらなければならない旨規定していま

す。

そして、同規則63 条は、帳簿及び書類についてその年分の確定申告期限の翌日

から起算して7 年間保存すべき旨規定(同条1 項及び4 項)するとともに、当該期間

保存すべき書類として、現金の収受若しくは払出しに際して作成された書類を掲げ

ています(同条1 項及び3 項)。

ご質問の、飲食業を営むA さんが作成した「店舗の売上に関する会計伝票及びレ

ジペーパー」は、現金の収受若しくは払出しに際して作成された書類と認められま

すから、上記期間保存すべきものに当たります。

以上により、A さんは、青色申告の承認を受けた飲食業に関する書類の備付け及

び保存を所得税法第148 条1 項に規定する財務省令で定めるところに従って行って

いないという事実がありますから、所轄税務署長がA さんに対する青色申告の承認

を取り消すことができることとなります。

経営セーフティ共済の損金算入と別表添付の関係について

 

質問

当初申告要件と、別表10(6)について

当社は過年度において経営セーフティ共済に掛け金を約800万円拠出し、

支払保険料として経理処理し損金算入しておりました。

しかし、本来は、経営セーフティ共済の損金算入には別表10(6)特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書の添付が必要なところ、

過年度において一度もこの明細を添付しないまま当初申告をしております。

この経営セーフティ共済はすでに解約済みで、拠出した800万の全額が

返戻され、すでに雑収入として処理し、益金に計上されております。

上記の前提の上で、

質問1)税務調査がある前に、別表10(6)を税務署に追加提出すれば、

これは当初申告要件を満たしたことになりますでしょうか。

(期限内申告を1回だけしており、その後修正申告をしていない前提で)

質問2)過年度において明細の添付をせず800万を損金計上したとはいえ、

すでに解約返戻金を益金計上している状況であれば、

もし仮に損金計上が否定されれば、

益金計上も否定されるべきだという論理には無理があるでしょうか。

以上、よろしくお願い申し上げます。

 

回答

当初申告要件について

1. 特定の基金に対する負担金等の損金算入特例制度においては、確定申告書に損

金算入に関する明細書(別表10(6))の添付がない場合においては適用されない

こととされています。ただし、その添付がなかったことにつきやむを得ない事情

があると認められる場合において、当該明細書の提出があったときは認めること

とされています(措置法66 の11②)。

また、この特例制度の適用を受けようとする場合は、それを記載した適用額明

細書を法人税申告書に添付しなければならないこととされています(租特透明化

法3①)。

ご照会事例については、確定申告書に当該明細書を添付しなかったことにやむ

を得ない事情があったといえるかどうかの事実認定の問題となります。

この点については、単なる添付漏れがあった場合には「やむを得ない事情」に

当たらないと解されており、そのほかに添付することができなかった相当の事由

がない限り本特例制度の適用はないことになります。

本件については、その文面の限りにおいて、やむを得ない事情があると認めら

れませんので、本特例制度の適用は認められないと解するのが相当と思われます。

(注) 平成23 年12 月税制改正における当初申告要件及び適用額の制限に関する

改正事項には、本特例制度は含まれていませんので従前の例によることにな

ります。

2. 基金の負担金の税務上の取扱いは、従来から寄附金との相違が必ずしも明らか

でないことから、特定の基金のうち長期にわたって使用又は運用される資産に係

る負担金の損金算入については、措法66 条の11 において定められています。

したがって、損金算入に関する要件を満たしていない場合には、当該負担金の

額は基金に対する寄附金として処理されることになろうかと考えられますので、

掛け金の支出時においては寄附金とし、解約返戻金の受領時においては益金に算

入することになると思われます。

ただし、本制度及び中小企業倒産防止共済法制定趣旨並びに既に当該共済契約

を解約していること等を総合勘案すると、実務的には、強いて税務否認はしない

ものと思われます。

共有名義不動産(借地権)の居住用3000万控除の適用について

 

(質問)

A氏は母親とともに建物を1/2ずつ共有していますが、
この建物が存在する土地は地主から借地しています。
借地契約は従来はA氏の父名義で締結されていましたが、
父の死亡以降はA氏単独名義で更新されています。
この度地主から、借地権と建物を買い取りたい旨の打診を受け、
地主へ売却を行いました。
売却後は、A氏と母はこの物件に引き続き居住(次の住まいが建築中のため地主から賃借する)しています。
ご質問1)
本件譲渡代金の配分および譲渡所得の申告については、
A氏と母で1/2ずつ行うのと、
借地権を考慮してA氏に大部分を配分するのと、どちらが税務上合理的でしょうか。
ご質問2)
A氏と母の住民票の住所に変化はないことになりますが、
居住用財産の3000万控除の特例の適用はあるでしょうか。

 

 (回答)

「譲渡代金の配分その他」に係るご照会について
ご照会文を拝見する限りでは、次のとおりです。
質問1について
建物の共有持分は明らかですが、この持分で借地権を準共有していると決めつけ
ることはできないものと思います。また、単独名義での更新がなされているとして
も、それが単なる「形式」に過ぎないものとすれば、このことも決定打にはならな
いものと想像します。そうであるとすれば、遺産である、借地権についての遺産分
割協議で誰が承継したのかに従って判定をするしか方法がないものと考えます。仮
に、遺産分割協議が未済であれば、これから分割をすればよいものと考えます。
上記の借地権の帰属と、建物の共有持分(2 分の1)に従って、譲渡代金総額の
配分をすることになります。
質問2について
上記のとおり、どのような配分になるのかについては、分かりませんが、住民登
録とは直接的な関係になく、各人につき、適用要件を満たせば特例の適用を受ける
ことができます。

国内払の範囲と源泉徴収税額の還付(非居住者の源泉所得税)

〔質疑事項〕

 国税庁タックスアンサー(添付)では、「非居住者や外国法人(以下「非居住者

等」といいます。)から日本国内にある土地等を購入して、その譲渡対価を国内で

支払う者は、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、所得税及

び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。」とあります。

 この度、非居住者Aから非居住者Bに日本国内の不動産が譲渡され、譲渡代金は

非居住者Aの海外口座から日本の不動産仲介業者Cの国内口座に振り込まれ、不動

産仲介業者Cの国内口座から非居住者Bの海外口座に振り込まれます。

質問 1)

 この場合にも、「譲渡対価を国内で支払った」ものとして源泉徴収の対象になり

ますでしょうか。

質問 2)

 仮に、源泉徴収の対象になる場合、非居住者Aは所得税の譲渡所得の確定申告を

することにより、徴収された源泉所得税の還付を受けることができるでしょうか。

 なお、譲渡所得はゼロと仮定します。

〔回答事項〕

 ご案内のとおり、我が国において非居住者等とされる者に対し日本国の課税権が

行使される場合は、当該非居住者等が、所得税法第 161 条に規定される、いわゆる

国内源泉所得を得た場合に限られます。

 そのうち、一定の対価等について、その支払が国内で行われた場合には、その支

払者は、支払の際に所得税の源泉徴収をし、その徴収した税額を所轄税務署に納付

しなければならないこととされています。

 また、その支払が国外で行われた場合であっても、その支払をする者が日本国居

住者等である場合、又は日本国内に事業所等の拠点を有するときには、その支払は

国内で支払われたものと見做して上述の源泉徴収義務の履行が求められます。

質問 1)について

 前述のその対価等が国内で支払われたものか、国外で支払われたものかという判

定に関し、所得税法又は所得税基本通達で直接的にこれを規定しているもの、或い

はこれに触れているものはない と理解しています。

 そこで、この問題に関して、その解釈指針となるものとしては、所得税基本通達

 

181~223 共-1(支払の意義)の取扱いが挙げられるものと考えられます。

 即ち、当該通達は、源泉徴収に関する全体の共通事項を定めているものですが、

当該通達の趣旨は「支払とは、支払債務が消滅する一切の行為である」としている

ところです。

 ご質問の事例で、所得税法が予定している支払は、どの段階で行われているのか

といえば、①非居住者B((注)ご質問の記載内容では非居住者Aとなっていますが、

同人は譲渡者であると認められますので、対価の支払者は非居住者Bであろうかと

存じます。)から日本国の不動産仲介業者Cに送金された段階では、CがAから代

理受領の権限を与えられている場合は別として、一般的には、仲介業者への支払で

は未だBの支払債務が消滅したと解することはできず、②不動産仲介業者Cから非

居住者Aに対して送金された段階において初めて非居住者Bの不動産取得の対価

に係る支払債務が消滅したと解することが相当であろうと考えます。

 不動産仲介業者Cの非居住者Aへの送金行為を法的にどのようにみるかという

問題がありますが、通常(利害が相反する関係においては別として)、不動産仲介

取引の手続面では、仲介業者が売主・買主双方の実務的な代理を務める場合が多い

ように思われます。だとすれば、この場合も、一種の代理行為として送金手続を実

行したものと解することが相当と考えます。

 既往の国税庁の取扱いのなかに、いわゆる代理支払も、源泉徴収に関する法条で

いう「支払」に該当するとした事例があります。

 具体的な日時は記憶しておりませんが、報酬料金の支払に関して国内払か否かと

いう点で問題となった事案と承知しています。

 その具体的な事例は、海外の事業会社が、取引の関係にある国内の事業会社に対

し、日本国内に居住する個人に対する源泉徴収の対象となる報酬料金の支払の代理

を委託し、国内の事業会社がこれを履行したものについて、国税庁は、国内におけ

る代理支払も法条でいう「支払」に含まれるとして、国内の事業会社に対して所得

税の源泉徴収義務が生ずる とした取扱いであったと承知しています。

 この解釈論理が現在でも有効であるとすれば、ご質問の事例においては、非居住

者Bの支払債務が消滅する行為が国内で行われている場合にあっては、その支払は

国内で行われていると解することが相当であろうと考えます。

質問 2)について

 不動産の譲渡者である非居住者Aは、日本国内に恒久的施設を有しない者である

ものとして検討を致します。

 所得税法第 164 条第 1 項第 2 号に規定する国内に恒久的施設を有しない非居住者

については、所得税法第 161 条第 1 項第 5 号に規定する所得について同法第 165

条第 1 項の規定により総合課税の対象とされ、総合課税(所得額ゼロ)の結果、源

泉徴収税額は還付対象となるものと考えます(所得税基本通達 164-1 表 5④参照)。 

従業員の横領に関する課税関係について


 A社では従来から、甲社長の個人財産に関する管理について、一部使用人乙に任せておりました。
 この度、A社の通帳上で、甲社長から借り入れた役員借入金の返済が行われていたにもかかわらず、甲社長の通帳に入金がない事態がおこり、
 不審に思って調査したところ、
 使用人乙が甲社長名義の預金口座を勝手に作成し、
 その口座に役員借入金の返済の形をとって振り込みをしておりました。
 ネット銀行のため本人確認が甘かった様です。
 (使用人乙は私的にそのお金を流用していたものと推測されますが、刑事事件などになっているわけではなく、流用の事実は必ずしも明確ではありません。)
 その後、甲社長は使用人乙を解雇するとともに、
 借入金の返済を偽装した金額について、使用人乙の退職金として経理処理を
 し、決算を行いました。
 (ご質問1)上記退職金は本来の退職金の形とは異なっていますが、
 法人税法上の損金として認められる余地がありますでしょうか。
 (使用人乙が横領をしたかどうかの事実さえも明瞭とはいえない状況下で、
  さらに乙側は解雇されただけであり退職金の受領の認識はないはずです)
 ※本来はA社が使用人乙に対する求償権を有し、その求償権を放棄した場合または、
 貸倒損失の事由に該当した場合のみ損金計上が認められるものと理解しております。
 (ご質問2)本件に関して法人税法上の役員賞与や使途秘匿金の課税の特例の認定を受ける可能性はありますでしょうか。

 

回答

従業員の横領に関する課税関係について
1. ご照会事例の事実関係からすると、乙は、A社の使用人であると同時に甲との
間に個人財産管理に関する委任(民法634)又は準委任(民法656)の関係にあると
考えられます。
このような考え方からすると、A社は法人の意思として借入金の返済を行った
ものであり、乙は甲の個人財産の一部を横領したものであると解するのが相当と
考えます。したがって、横領した当該金銭については、甲が乙に対する損害賠償
(又は不当利得の返還)の求償権を有しており、法人には求償権は存在しないと考
えられます。
よって、法人にあっては、甲名義の預金口座への振り込みは借入金の返済であ
って、損金の額は発生しないものと思われます。
なお、法人が退職金を支給するかどうかは、別個の問題としてとらえるべきも
のと考えます。
2. 上記1 の考え方になり、ご質問のような税務処理はないものと考えます。

 


 

給与規定の改訂に伴い二カ月分の月給を一括して支払った場合の源泉徴収の方法
〔質疑事項〕
A社の給与は、当月月末に締め、その支払は、翌月10 日支払の社員と翌々月10
日支払の社員とがおりました。
この度、翌々月10 日支払を廃止し、翌月10 日支払に統一することになりました。
このため、一部の社員に対し、二カ月分の給与を一括して支払うことになります。
仮に、一カ月の給与を20 万円とした場合、源泉所得税の計算は、20 万円と40
万円(二カ月分合計額)のいずれを基準に行うべきでしょうか。
〔回答事項〕
当該給与の支払を受ける者が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している
者である場合には、所得税法第 185 条第 1 項第 1 号の規定に基づき所得税の源泉
徴収を行うこととなりますが、ご照会のA社の給与は、原則として、その支給期が
毎月と定められているものと認められ、原則的には同号イの規定により源泉徴収す
べき税額を算定することになりますが、たまたま支給期の改訂に当たり、二カ月分
の給与を一括して支払われることとなった者については、当該支給期に属する給与
については同号ニに規定する給与に該当するものと解することが相当であり、だと
すれば、一カ月分の給与(20 万円)について月額表に基づき算出した税額に2 を
乗じて計算した金額に相当する税額をその支払に当たって源泉徴収すべきものと
考えます。
当該給与の支払を受ける者が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していな
い者である場合には、同項第 2 号の規定に基づき、上記と同様の処理を行うべき
ものと考えます。

税務における前期損益修正について
A社では28年3月期において、店舗の小口現金経費200万円の経理処理を失念し、
決算を組み、法人税・消費税の申告を行ってしまいました。
この場合において税務上は28年3月期の更正の請求を行うとともに、
29年3月期において修正経理を行い、29年3月期に計上する前期損益修正損については別表否認することになるかと思われます。
質問1)
この場合において、更正の請求が認められるかどうかの課税庁の判断基準は、
必ずしも29年3月期決算において修正経理したことを確認することが必要条件ではないという認識で正しいでしょうか。
質問2)28年3月期において小口現金経費の計上を失念していたことからも明らかなとおり、当該法人の決算においてBSの小口現金を正しい残高で計上することができておりませんでした。
このことについては別表5において小口現金計上漏れの調整が行われるべきかと思いますが、
そのほかに法人税法上危惧すべき問題点がございますでしょうか。
質問3)消費税の更正の請求について
本件小口現金については、当時から小口現金出納帳が記帳されておりましたが、店舗における小口現金担当者と、本社の経理担当者との認識違いにより、
結果的に計上漏れとなりました。
28年3月期の決算における総勘定元帳への反映こそ失念いたしましたが、
消費税法上の帳簿保存要件は満たしていると考えておりますが、問題ないでしょうか。

 

前期損益修正(小口現金経費の失念)について

 ご照会の件につきまして、次のとおり回答させていただきます。

(質問1・2について)

 小口現金経費の経理処理の失念とありますが、当該取引の債務の確定が平成 28

年 3 月期としますと、同期の損金の額に算入すべきものとなりますので(法人税法

22 条 3 項二号)、そうしますと、国税通則法 23 条 1 項一号に該当し、更正の請求

をすることはできるものと考えます。

なお、前期損益修正との関係につきましては、法人税基本通達 2-2-16 にありま

すような契約の解除、取消し、値引き、返品等の事実が、平成 29 年 3 月期におい

て生じたものではありませんので、添付していただいた裁判例で示されているとお

り更正の請求で対応することが相当であると考えます。

 今回の更正の請求(事由)は、損金の額の帰属事業年度の誤りを是正するもので

あり、また、ご照会の事例は、「事実を仮装して経理したところに基づくもの」(法

人税法 129 条 1 項)には該当しないものと解されますので、修正経理の確認は必要

条件にはならないものと考えます。

(備考)上記の法人税基本通達 2-2-16 を根拠として、解約等があった場合でも遡

及して訂正を行わないのであるから、単純な誤りを訂正するような場合には、

誤りを発見した事業年度において前期損益修正損を計上し、計上した事業年度

の損金の額に算入することも認められるとの見解もあろうかと思います。この

場合には、「単純な誤り」の範囲をどのように捉えるのかという別の問題が生

じ、私見は、上記のとおり、更正の請求により是正すべきものと考えます。

(質問3について)

 消費税法上の「帳簿」とは、同法 30 条 8 項各号に掲げる事項が記載されている

「帳簿」とされており、社会通念上帳簿という程度の体裁(日々の取引を継続的に

記録していること)を保っている必要があると考えます。

 総勘定元帳への反映はされていないものの、ご照会の文面にあります「小口現金

出納帳」に、消費税法 30 条 8 項一号各号に掲げる事項が記載されているとします

と、同項の「帳簿」に該当するものと考えます。 

 

事業と家事の用途に共通して消費又は使用するものに係る仕入税額控除

 

[質問]

個人事業者の事業所得の申告において、車両の消耗品費や減価償却費、

自動車税、車検費用などの費用について、「1年分の走行距離」に占める

「個人使用等の走行距離」の割合を乗じたものを自家消費分として経費

否認(仕訳例:「事業主貸/車両消耗品費」)をしています。

この場合、貸方の「車両消耗品費」の消費税法の取扱いは、自家消費と

して課税売上げになるのでしょうか。それとも経費の減少で課税仕入れ

のマイナスとなるのでしょうか。

また、消費税法第4条第5項第1号《個人事業者の家事消費等》との関

係はどのようになるのでしょうか。

 

 [回答]

消費税法の取扱いにおいて、個人事業者が資産を事業と家事の用途に共通

して消費し、又は使用するものとして取得した場合、その家事消費又は家

事使用に係る部分(消費者の立場で購入した部分)は課税仕入れに該当せ

ず、個人事業者が事業として消費し、又は使用する部分のみが課税仕入れ

に該当することになるとされ、この場合において、その資産の取得に係る

課税仕入れに係る支払対価の額は、その取得の時にその資産の消費又は使

用の実態に基づく使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算する

ものとされています(消基通11-1-4)。

このことから、事例の場合、その事例照会の内容からみて、個人事業者が

取得した車両や消耗品等は、その個人事業者が事業と家事の用途に共通し

て消費し、又は使用するものであるとして検討しますと、その個人事業者

が取得した車両や消耗品等については、その個人事業者が事業として消費

し、又は使用する部分のみが課税仕入れに該当し、その課税仕入れに係る

支払対価の額は、その取得の時にその車両や消耗品等の消費又は使用の実

態に基づく使用率等の合理的な基準により計算することになると考えます。

また、消費税法第4条第5項第1号《個人事業者の家事消費等》の規定は、

個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたも

のを家事のために消費し、又は使用した場合におけるその消費又は使用は、

事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなすとされているものであ

り、事例の場合、個人事業者が車両や消耗品等を事業と家事の用途に共通

して消費し、又は使用するものとして取得したものには、この規定は適用

されないと考えます。

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