会計・税務に関する年間スケジュールをご説明させていただきます。

 

1 月次決算業務 (時期:毎月)

下記の会計資料一式を、1ヶ月に1回程度、税理士に郵送してください。

税理士が会計帳簿を作成し、報告させていただきます。

(会計資料一式)

  法人名義の預金通帳のコピー

  売上の資料・・・顧客への請求書(またはそれを集計した資料)、売上日報等

  費用の資料・・・領収書、カード明細等

  領収書については、月毎に紙に貼っていただくか、 袋等にいれてまとめていただければと思います。また、通帳の入出金で相手先の記載のない物や、ATM出金については用途・相手先をメモ書きしていただければと思います。

 

(注)上記は税理士が帳簿作成を行う場合の手順となります。ご自分で帳簿作成を行うお客様は定期的(概ね1カ月毎)に会計データ及び通帳コピーの送付をお願い致します。

 

2 法人税、法人住民税、法人事業税の申告(時期:決算期末から2カ月以内)

決算期末から2カ月以内に、決算書を作成し、税務申告を行います。

税率は3つの税目の合計で、利益の約3035%になります。

 

3 源泉所得税の納付 (毎月10日)

会社が個人に給与・外注費を支払う場合には、所得税の源泉徴収をする必要があります。

源泉徴収した所得税は翌月10日までに税務署に納付することとなっています。なお、従業員10人未満の会社の給与・一部の外注費については、1~6月分を710日までに、7月~12月分を120日までに納めればよいこととなっています。

 6か月ごとの特例を適用するためには、一定の届出書を税務署に提出することを要します。ただし、届出の効力は届出を行った日の翌月から支払われる給与等から生ずるため、届出月の源泉所得税の納付期限は、原則通り翌月10日となります。

  源泉所得税は1日でも納付が遅れると、5%の不納付加算税が追徴されます。

 

4 年末調整 12月または1月)

従業員が確定申告をしなくてよい様に、会社が従業員の所得税の計算をする必要があります。毎年12月または1月に実施します。

 

5 償却資産税申告 1月)

会社が所有する固定資産(器具、備品など)の帳簿価額を毎年1月末までに申告します。申告した結果に対し、市区町村が年1.4%の償却資産税を課税します。

  11日時点の固定資産の総額が150万円未満の場合には納税義務が免除されます。

 

6 役員報酬の決定(期首から3カ月以内)

会社の利益調整による過度な節税を防止する観点から、法人税法では、役員給与の変更が期首から3カ月以内のものしか認められていません。

4か月目以降に金額を変更した場合には、変更前との差額部分について経費に算入できないなどのデメリットが生じてしまいますので、新事業年度開始と同時に、前期の事業実績を勘案して計画的に役員報酬を設定することをお勧め致します。

 

7 役員賞与の決定(期首から4カ月経過日、または株主総会から1カ月経過日のいずれか早い日まで)

 

上記6の役員報酬とは別に、会社が役員の賞与を税務署へ届け出て、届け出た金額通りに賞与を支給した場合には、その役員賞与の金額も経費に算入されることになります。

届出期限は期首から4カ月経過日と定時株主総会の翌日のいずれか早い日(ただし、設立初年度においては設立から2カ月を経過する日)となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参考1)領収書の保存方法について

領収書はホチキス止めまたはノートに貼って保管をお願いします。

飲食費(打合せ食事代)の場合には、領収書の余白・裏面に相手先名・参加人数の記載をお願い致します。

 

領収書か、レシートの保存が必要。カード明細のみはダメ。

領収書・レシート共に一長一短があります。領収書は会社名を記載してもらえるのに対し、レシートは飲食内容や人数が一目瞭然です。どちらの保存でも構いませんが、レシートの場合、劣化することが多く長期の保存には適さないかもしれません。

なお、クレジットカード明細のみの保存は消費税の課税される事業者では認められていません。

 

(参考2)帳簿書類の保存方法について

  法人は、帳簿を備え付けてその取引を記帳するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保存しなければなりません。

 

(参考3)個人所得税・住民税の税率について

 

 

(参考4)税務署へ提出する設立届出等について

  会社設立後、税務署に下記のような届出書・申請書を提出する必要があります。

1設立届出書(税務署、都税事務所) 2青色申告の承認申請書(青色申告を行う場合)

3給与支払事務所の届出書 4源泉所得税の納期の特例の承認申請書

5申告期限の延長申請書(任意) 6減価償却方法の届出書(任意)

上記の書類については、事業目的を「~業」と一言で言い表して記載する必要があります。ご希望の表現があればお申し付けください。

 

 

(参考5)消費税について

会社設立後、第1期目及び第2期目については原則的に消費税を納める義務がありません。消費税は2期前の売上高が1000万円を超える事業者に納税義務を課しているためです。

 

しかし、次の場合には設立1期目・2期目であっても消費税の納税義務が発生します。

・期首資本金額が1000万円以上の場合

・第1期の上半期の売上高・給与の両方が1,000万円を超える場合の第2期(平成2511日以降開始の事業年度からの税制改正事項)

 

また、貿易業など一定の業種においては、消費税を敢えて申告することで、税務署から還付金を受け取ることが出来る場合があります。

 

 

福利厚生費に関する節税対策

 

会社名義で社宅を借りて節税

会社がマンションを借り上げて役員に社宅として提供する場合、賃借料の50%~70%を会社の経費として処理することができます。役員報酬から家賃を払う場合に比べれば、会社経費として処理した分だけ、所得税を節税できます。家賃の一部を会社の経費とするので、役員の家賃負担額を軽減する効果もあります。

さらに、従業員の場合は、取扱が異なっており、負担すべき金額はさらに低廉に算定され、節税額が大きくなります。

 

社員旅行

金額制限および日数制限はありますが、社員旅行に要した費用は、会社の費用として処理し、かつ、社員個人への所得税課税を避けることができます。

一般的に社員の半数以上が参加し、かつ45日以内で、一人当り10万円以内の旅行でしたら会社経費として認められます。ただ、欠席者に対し、現金支給を行なうと、全額が経費と認められなくなるので注意が必要です。

 

スポーツクラブなどのレジャークラブの会費

法人契約し、社員の誰もが利用できるのであれば、経費処理できます。

 

永年勤続表彰

10年以上、永年勤続した従業員や役員に、記念品を支給したり旅行へ招待した場合には、所得税は課税されません。ただし社会通念上、相当である額である必要があります。さらに、現金で渡したり、高額なものを贈ったりすると、給与課税されることがありますので、注意してください。

 

人間ドック費用

健康診断にかかる費用は、本来は、本人が負担するべきであり、会社経費とはなりません。しかし、会社全体を対象として人間ドック費用を負担した場合には、経費となります。役員などの特定の人だけを対象とした場合には、経費にはなりませんが、一定の年齢以上の人に限定するのであれば、経費として認められます。

 

⑥スーツ代

役員・従業員のスーツ代を会社が負担する場合には、会社のネームを入れる等し、会社の資産として購入したスーツを従業員へ無償で貸与する形を取る必要があります。

 

交際費に関する節税対策

 

得意先との旅行費用

新製品のうちあわせ、販売戦略の策定会議、調査研究、研修といった実態を備えていれば、経費とされます。実態を説得力をもって説明できる資料を整備しておくことが重要です。

 

一人当り5千円までの取引先との飲食費

取引先との飲食費は1人当たり5,000円以下であれば、交際費ではなく、全額経費として認められます。ただし、その飲食等があった日、接待の相手の氏名(名称)及びその関係、人数、金額、店の名前及び所在地等を記載した書類を保管する必要があります。 

(注)交際費になると支払金額の10%が経費になりません。また、会議費・交際費以前に私的な飲食と判断されれば全額が経費となりません。

 

③情報提供料(紹介料)

お客様を紹介してもらった相手に謝礼を支払った場合、相手がそれを業としていない場合は、そのままでは、交際費扱いになってしまいます。ただし、次の三つの条件がそろっていれば、経費として認められます。

・支払った対価があらかじめ締結された契約に基づくものであること。

・提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。

・対価がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。

 

④使途秘匿金を避ける

使途秘匿金とは、支払いの相手を税務当局に秘匿する支出です。支払先を秘匿した支出については、税法上厳しい扱いがされす。使途秘匿金に対しては、損金として認められないこと加え、更に罰則として使途秘匿金に40%を乗じて計算した金額が追加課税されます。つまり、使途秘匿金には二重に税金が掛かるようなものです。さらに赤字決算で、通常の法人税が発生しない場合でも、この使途秘匿金への追加課税は生じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

倒産防止共済加入に関する節税対策

 

 

    倒産防止共済(経営セーフティー共済)に加入する

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。

払い込んだ掛金は税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できます。

 

掛金は将来払い込む掛金をまとめて一括で払い込むことができます。この場合、1月につき掛金月額の1,000分の5の前納減額金が発生します。

掛金は掛金総額が800万円になるまで積立てができます。

 

創業から1年経過後でないと加入できませんが、法人化(法人成り)して1年未満であっても、個人事業の開業日から法人化までの期間の合計が1年以上経過している場合は加入できます。

 

(注)倒産防止共済の解約時には解約手当金が返還されます。(1年以上加入で85%40か月以上で100%

解約手当金は収益として計上されます。

 

(注)倒産防止共済の加入は、一般の金融商品の購入と同様に、自己の責任で判断をお願い致します。

弊社では、一切の勧誘・推奨・仲介を行っておりません。

別表十(七)、「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/pdf/h22/10_07.pdf

 

 

投資に関する節税対策

 

 

①車両の購入による節税

車両の購入代金は直ちに全額が経費化されるものではないため、即効性のある節税対策ではないかもしれません。

しかし、中古車両など耐用年数の短い車両を購入すると、最初の12ヶ月間で全体の5割以上を経費化できるケースもあります。

 

②パソコン等の少額資産の購入による節税

 1個あたり30万円未満の資産は、減価償却をせずに一括で経費に計上することが可能です。(年間300万円まで。)

 

2店舗目の出店や、新ビジネス算入による節税

 決算対策として、決算月までに2店舗目をオープンしたり、フランチャイズチェーンに加入するケースも考えられます。

 予め、支出の中で経費に出来ないもの(不動産の保証金、加盟金など)と経費に出来るもの(引っ越し費用、仲介料、研修費用)の区別を見極めておく必要があります。

 

1年分の経費の先払いを経費として認めさせる節税(短期前払費用)

 法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った金額を継続してその事業年度の損金の額に算入しているときは、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。

 

(具体例)地代・家賃・賃借料・リース料・保険料・支払利息・手形割引料・信用保証料


 ただし、借入金を預金や有価証券などに運用する場合のその借入金の支払利息のように、収益と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。

短期前払費用の特例は、あくまで重要性の乏しいものについて、企業会計上の簡便な処理を税法上でも認めるという趣旨の特例です。  その会社の事業内容から判断して、原価的要素となるものや重要な営業費用となるものは、短期前払費用の特例の適用を受けることはできません。

 

 

個人所得税・住民税の節税対策

 

 

①小規模企業共済

小規模企業共済とは個人事業主及び中小企業の役員が加入することができる共済で、将来、基本的に全額が戻ってくるにもかかわらず、所得税・住民税の計算上は支払った掛け金を控除することができる商品です。

 

(注)会社を解散する場合、役員を退任する場合には一時金または年金の形で、支払を受けることが出来ます。

これらは退職所得または雑所得としての課税を受けます。

 

(注)倒産防止共済の加入は、一般の金融商品の購入と同様に、自己の責任で判断をお願い致します。弊社では、一切の勧誘・推奨・仲介を行っておりません。

 

②給与の分散

 所得税は累進課税(所得が高いほど税率も高い)ですので、社長おひとりに給与を集中するよりも、勤務実態のあるご家族に給与を分散することで、適用される税率を引き下げる効果が得られます。

 

③扶養親族の見直し

 同居していない親族に生活費を支払をしている場合には、送金の証拠書類を税務署に提示できる状態にしておくことで、同居していなくとも扶養親族に加えることが可能です。

 

 

 

出張による日当の支給

 


 出張の際に支払われる日当は、原則として受け取る役員・従業員側では非課税所得となります。
 これは、手当が出張等の際にかかった実費経費の弁済と考えられるため、常識的な範囲の支給であれば課税しないという趣旨のものです。
            
 事業の性質上、出張等の多い企業は特に、給与規程・旅費規程の整備により、非課税という形でより多く支給できる仕組みにできれば節税につながります。
   
<日当が非課税であるための要件>
1)常識的な範囲の水準であること
2)全社員を通じて適正なバランスが保たれていること
   社長だけが極端に高いような場合は問題
3)上記をふまえて旅費規程を整備し、この基準に基づいて支給する
                     

決算賞与の検討

 


 従業員への賞与は、原則として支給日の属する事業年度にて経費処理することになりますが、一定の要件を満たすものについては、決算日までに未払いのものであっても、未払計上することができます。
          

<未払計上が認められるための要件>
1)決算日までに決算賞与の支給額を各人別にすべての受給者に通知していること
2)決算日後1月以内に受給者全員に支払っていること
3)決算で未払計上をしていること

4)支給日に在職する従業員のみを対象とするような場合、上記2の1)の要件が満たされないとして、支給額全体について未払計上が認められなくなります
            
5)支払通知書を各従業員に交付し、各人から確認印を受領するなどして、通知の履歴を後日証明できるような措置をとっておくことが望まれます

 

 

 

健康保険組合に加入して社会保険料を削減

 

一定の条件を満たすと、同業種の会社が集まってできた「健康保険組合」に加入することができる場合があります。

「協会健保」に比べ「健康保険組合」に加入するメリットは以下の2つがあります。

 

1. 社会保険料率が低い場合あり      → 社会保険料の削減

2. 保障される給付の内容が厚い場合あり → 福利厚生が充実

 

すべての健康保険組合が優遇されているとは言い切れませんが、ほぼ多くの場合上記2つのメリット

の恩恵を受けることができます。

 

それぞれの健康保険組合に加入するには、組合ごとに設けられた条件を満たす必要があります。

詳しい加入条件は、各組合にご確認をお願いします。

 

ご参考までに、各健康保険組合は例えば下記の様なものがあります。

 

 

 

・関東ITソフトウエア健康保険組合

http://www.its-kenpo.or.jp/html_main/h_c_00.html

 

・東京広告業健康保険組合

http://www.adkenpo.or.jp/

 

東京不動産業健康保険協会

http://www.tfkenpo.or.jp/

 

 

 

 

 

 

 

留学生を雇用する場合

 

 

中国・韓国などの留学生の方へアルバイト代を支払う時、源泉徴収しなくてよい場合があります。これは日本との相手国の間でかわされている、租税条約を根拠としています。

条件は概ね下記の通りです。

 

1.日本の大学等に留学にきていること。(日本語学校や専門学校は含まれません。)

2.租税条約の届出書を会社が所轄税務署に届出書を提出すること。(パスポート等の一定の身分証明書等も提出)

 

 

また、外国人を正社員として雇用する場合には、ハローワークへの届け出、ビザの申請など事前に注意すべき点がいくつかありますので、ご留意ください。

役員報酬にまつわる諸知識

 

役員報酬とは

 

 代表取締役または取締役の給与のこと。

 取締役の給与は年度がかわってから3ヶ月以内でないと変更できず、かつ期中2回以上の変更は不可。賞与は原則的に経費にできない。

 

 平取締役については、給与の中に取締役としての給与と従業員としての給与の2種類が含まれていると解釈される。(使用人兼務役員の使用人分の給与)

 平取締役の従業員部分の給与は変更可能。賞与の支払いも可能。

 

 

なぜ役員報酬を設定するか

 

 会社と役員個人とは別々の存在であるため。

 会社に利益が残るのと役員個人がお金をもらうのとは別のことである。

 さらに、もし会社が黒字になり利益が残ったとすると、その利益はいつかはかならず会社の外部(役員、株主など)に支払う必要がある。

・給与として役員へ(会社の経費となる)

・退職金として役員へ(会社の経費となる)

・利益の配当として株主へ(会社の経費とならない)

・会社を解散・清算するときには配当として株主へ(会社の経費とならない)

 

 

会社にお金を残すより役員報酬を払うのが有利と言われるのは何故か

 

 中小企業では社長≒会社

 会社の利益に対する法人税等の税率は約35%

 個人の給与に対する所得税、住民税、社会保険の負担率が、上記を下回るのなら、役員個人に給与を支払ったほうが有利であるという考え方ができる。

 

 また、赤字の会社には税務調査が入りづらいのは事実であるため、面倒な税務調査を回避するために会社が赤字になるような高めの役員報酬を取る経営者も実際に存在する。面倒な税務調査を避ける代わりに個人の年収を上げ、個人の所得税住民税は多少高めに払うという考え方である。

 赤字決算が前提となるため、銀行から融資を受けて事業拡大をする場合には取ることのできない手法である。

 

 

役員の奥さんや親族に給与を払うのは何故か

 

 個人の所得税は一人に所得(給与)が集中するほど税負担率が高くなる仕組みになっている。

 お金を渡しても良いような身内のなかに、給与が0の人がいれば、給与を渡すことで税負担率を下げることができる。

 ひとつの家族としての収入は変わらず、税金だけが節約できる。

 

 

働いていない奥さんや親族に給与を払ってもよいのか

 

 働いていない親族に給与を払うことは認められていない。ただし、現実にはしばしば本当に働いているかが外部からは判別できないケースが存在する。

 「経営に携わっている」「人脈をつかって会社に貢献している」「社内で経理総務秘書を業務などしている」など。

 このような仕事内容の場合、出勤が必須とは言い切れないため、節税のツールとしての自由度は高いと言える。

 世間にはタイムカードや出勤簿、日報の整備されていない中小企業も多く存在することも一因である。

 

 

配偶者控除、103万円の壁、130万円の壁とは何か

 

 年収の低い妻がいると、夫は税・社会保険料の優遇を受けることができる。(男女逆の場合も同じ)

 

 ・配偶者の年収が103万円未満であれば、夫の給与所得から38万円を引いて税金を計算することができる。

 ・配偶者の年収が130万円未満であれば、自分で社会保険料を納めずに、夫の扶養に入ることができる。

 

 税務の現場では、あまり勤務実態のない妻に、年収103万円の範囲内で給与を支払い、給与を会社の経費として法人税を節税した上で、社長個人としては配偶者控除を適用し所得税・住民税を節税する「二重の節税」がしばしば見受けられる。

 

 そもそも勤務実態のない妻であるから、年収103万円(月額8万円程度)の範囲内の給与の方が無理がない(勤務実態を証明するのに苦労しない)とも言える。

 

 

社会保険には加入したほうがよいのか

 

 法人である以上、社会保険加入は義務である。役員、正社員、正社員の3/4以上の勤務時間のあるアルバイトは社会保険に入れる必要がある。

 会社は社会保険料の1/2を負担し、残り1/2 は個人が負担する。(労使折半)

 

 現実には日本の企業数の30%前後が社会保険未加入と言われており、創業当初から社会保険に加入する企業はむしろ少数派と言えるかもしれない。

 

社会保険は高いのか、払うことの損得はあるのか

 

 下記の例のように決して安い金額ではないと言え、中小企業の資金繰りを圧迫する可能性は十分あると言える。

ただし、厚生年金については将来自分で受け取る年金であるので、自身や配偶者が長寿を全うすることを前提とすれば払うことに金銭的なメリットがある。

 

 給与20万の場合  健康保険 19,000円 厚生年金 34,000

 給与50万の場合  健康保険 49,850円 厚生年金 85,600

 

 ※現在の日本の年金制度は相互扶助(強者が弱者を助ける)の性質も持っているため、自分の負担した年金をすべて自分がもらえるわけではない。

 また、世代間の不平等も指摘されていることは周知の通りで、受給開始年齢は今後上がり続けるはずである。

日本からの輸出貿易で

消費税還付を受ける際の注意点

 

1、領収書・請求書について

 

仕入れの請求書・領収書の宛名が法人名であること

(個人名ではないこと)

納品書も含め、何をいくら誰から仕入れたのかを説明できる書類を全て保管しておく必要があります。

 

会社名、住所、電話番号、商品内容などを確認できることが重要です。特に1件数十万円の領収書は税務調査で重点的にチェックされ、コピーを持ち帰られます。

 

 

2、EMS送り状について

 

EMSの送り状を全て保管していること

送り状には正しい金額(販売金額)を記載していること

送り状の差出人が法人名であること

ひとつの便あたり20万円以上の場合(販売金額)は、郵便局から輸出許可通知書をもらうので、これを保存すること。

 

 

3、売上について

 

売上について、中国側の通帳、支付宝など、客観的資料を保管し、これをもとに決算上の売上を計上することが必要です。

誰にいつ何をいくらで売ったかの記録を残しておく必要があります。

 

 

4、個人口座での取引をなるべく減らすこと

 

法人代表者の個人口座に不特定多数の入出金があると、税務署は、会社の売り上げを隠すために個人口座を利用しているのではないかという疑いを持ちます。税務署は口座を本人の承諾なしに閲覧する権限があります。

 

5、会社の本店所在地で事業を行うこと

 

税務署は本店所在地の様子を確認するために連絡無しで訪問することがあります。本店所在地が実在しない、空室になっているなどのケースでは非常に税務調査につながりやすくなってしまいます。

 

 

6、楽天IDYahoo!ID、預金口座を他人に貸さないこと

 

他人にIDや口座を貸していても、税務署は名義人が商売をしていて無申告であると予測して、税務調査にやってきます。

 

 

 

 

  上記のすべての書類は9年間の保管義務があります。一度消費税が還付されていても、数年後の税務調査時に書類が保管されていないことを理由に、消費税を払わされてしまう可能性があります。

ビル設備における減価償却について

 

1はじめに

ビル設備の取得・建築は、ビル経営者にとってまさに「大きな買い物」であり、慎重な検討が必要となります。経理面での検討事項としては、ビルの収益及び費用の予測、特に減価償却費の計算が資金繰りに非常に重要な意味合いを持ちます。減価償却費は現実の入出金を伴わない会計特有の項目であるために、ともすると軽視されがちでありますが、減価償却費の正確な予測なくして、賃貸ビルの事業計画の策定は不可能といってよいでしょう。

2減価償却資産とは

建物、建物附属設備などビル設備は、一般的には時の経過等によって毎年その価値が減少していきます。このような資産を減価償却資産と呼び、この価値の減少を各年の会計上の費用として計上することを「減価償却」と呼びます。

ちなみに、これに対して、土地や書画・骨とう品・美術品・古書のように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産には該当しないこととなり、減価償却費による費用の計上も行われません。

 

3減価償却費とは

先に述べたように、会計上及び税務上、固定資産の取得価額は支払い時にすべて費用化するのではなく、その資産の使用可能期間(耐用年数)の各期間にわたり分割して費用に計上していくこととなっています。

その際の会計処理科目を「減価償却費」と呼び、固定資産ごとに税法で定められた年数(「法定耐用年数」)から求めた償却率を用いて金額を計算し、これを経費の額として計上することになります。

 

4減価償却の方法(定率法と定額法)
減価償却の方法には主に定率法と定額法があります。

定額法とは、固定資産の償却方法で、毎年定額の減価償却費を計上していく方法をいい、耐用年数の初期から終盤にかけて減価償却費の金額が一定であることが特徴です。

 

これに対し定率法は毎年定率の償却率を用いて減価償却費を計上していく方法のことです。定率法によると、耐用年数の初期には多額の減価償却費が計上されるのに対し、多額の修繕費が発生してくると思われる耐用年数の終盤には減価償却費が少なく計上されるため、修繕費も含めたコストを平準化するための手法と言うことが出来ます。

 

具体例

 

定額法

定率法

耐用年数

10

10

償却率

0.1

0.25

1年目の償却費の額

100,000

250,000

(1,000,000×0.100)

(1,000,000×0.250)

2年目~7年目の償却費の額

100,000

(1,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.250

(1,000,000×0.100)

 

 

 

5法人と個人、資産の取得時期で違う減価償却の方法

税法上は、資産所有者が個人であるか、法人であるかの別に下記の様に償却方法が定められています。減価償却を考える上ではビルの所有者が、個人であるか法人であるか、特例的な償却方法を取るための届け出を税務署に提出済みであるかどうかに留意が必要になります。

 

これは、減価償却が税法によって定められた費用計上の方法であることに依拠しており、ビル所有者が個人であれば所得税法、法人であれば法人税法という別々の法律に基づいて減価償却の計算をすることとなっているためです。

 

一覧表

個人所有のビル設備の場合(平成24年の取得を前提)

 減価償却資産の区分

原則

特例

建物

定額法

-

附属設備、工具備品、機械など

定額法

定率法

法人所有のビル設備の場合(平成24年の取得を前提)

 減価償却資産の区分

原則

特例

建物

定額法

-

附属設備、工具備品、機械など

定率法

定額法

 

上記の表中の特例的な方法を選択して減価償却費を計算するには税務署への事前の届出が必要です。

 

6ビル設備の耐用年数

建物・設備の耐用年数は、建物用途や設備の利用状況などによって異なるため、実際には千差万別であるといってよいでしょう。しかし、世間一般において減価償却費を計算する場合には「法定耐用年数」が多く用いられているのが実情です。

「法定耐用年数」というのは、所得税法・法人税法において減価償却費を計算するために設けられた償却年数のことで、実際にはこの年数を上回って使用される資産もあれば、耐用年数に満たないうちに老朽化したとして取り壊される資産もあります。
とはいえ、耐用年数という考え方自体が、予測不可能な将来にわたる資産の老朽化を見積もるという性格を持つため、拠り所として税法に定められている「法定耐用年数」が広く利用されています。

 

なお、次の様な事由により実際の使用可能期間がその資産の法定耐用年数に比べて著しく短くなる場合、承認を受けることで耐用年数を短縮できる制度)があります。

1.材質又は製作方法が同じ種類・構造の通常のものと著しく異なること 
2.設置場所の地盤が隆起し、又は沈下したこと 
3.資産が陳腐化したこと 
4.使用場所の状況に起因して著しく腐食したこと 
5.通常の修理・手入れをしなかったために著しく損耗したこと 

 

主たるビル設備の耐用年数一覧表

 

建物本体

構造・用途

細目

耐用年数

鉄筋コンクリート造

事務所用

50

 

住宅用

47

 

飲食用

34

木造

事務所用

24

 

住宅用

22

 

飲食用

20

 

附属設備

構造・用途

細目

耐用年数

給排水設備

 

15

ガス設備

 

15

電気設備

蓄電池電源設備

6

 

その他

15

空調設備

業務用

13

昇降機

エレベーター

17

 

エスカレーター

15

消火・排煙設備

 

8

エアーカーテン、自動ドア

 

12

 

 

7建物よりも付属設備が有利

上記6をご覧になると、たとえ1棟の建物と言えども、建物本体のほかに、耐用年数の異なる様々な減価償却資産の集合体であることがおわかりいただけるかと思います。

税務実務上は、主たる部分である「建物本体」と付属属設備を一括して建物として減価償却費の計算をしても、建物本体と付属設備をわけて減価償却費の計算をしてもかまいません。
しかし、付属設備は建物よりも耐用年数が短くいため、短期間で減価償却でき、取得当初の必要経費を多くする効果(節税効果)が期待できますので、所有者の有利になるように細かく区分を行うことが一般的です。

 

8修繕費と資本的支出

 

ビルの建物や設備の維持費、修繕費は経費になります。ただし、その修理費が資産の価値を高めるものである場合は"資本的支出"となり、その金額をそのままその年の経費に算入することはできなくなります。

資本的支出は資産を新規に取得する場合と同様に、減価償却によって経費を計算することとなり、即時に経費とすることが出来ません。

 

支出した全額が当期の経費となるか、いったん資産に計上して耐用年数にわたり徐々に減価償却費として経費化されるかの違いにすぎないのですが、単年度の利益の計算や、今後複数年の減価償却には大きな影響を与える項目です。

修繕工事代金が資本的支出と修繕費のいずれに該当するかは、その支出により固定資産の価値が増加しまたは耐用年数が延長するか、あるいは、そのような事実はなく単なる維持修繕にとどまるかで判断します。

 

資産の価値を高めているのか、あるいは耐用年数を延長させる効果があったのかについては、判断に迷う場合もあると思いますが、最終的には恣意性を介さず客観的事実により判断することとなります。

 

修繕費となる具体例

・震災により地盤沈下が発生したため、傾いた家屋をジャッキアップする工事

・地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額

・建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設

・現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用

 

 

資本的支出となる具体例

・建物の避難階段の取付

・用途変更のための模様替え

 

9ビル設備の管理と固定資産除却の重要性

  除却

一定期間、固定資産を使用すると、老朽化が避けられず、やがては資産を廃棄することとなります。

また、まだ使用できる資産であっても、陳腐化し、実用性に乏しくなった場合などには新しいものとの交換が必要になる場合があります。

この場合、会計処理上は固定資産の除却処理を行い、固定資産の帳簿価額の全額を「固定資産除却損」として経費に計上します。

この場合には、除却の事実を証拠として残すために、廃棄の様子を写真に残したり、資産を廃棄した証明書を処分業者から入手する必要があります。

  固定資産台帳の整備

一棟のビルにまつわる固定資産は、建物本体、外構工事、植栽工事、空調工事、証明工事、、給排水設備、OAフロアなど多岐にわたっており、これら膨大な数の固定資産を管理する場合には、「固定資産台帳」という書類を整備することが必要になります。
固定資産台帳では、すべての固定資産に一連の番号を付し、固定資産の名称、取得年月日、使用開始年月日、取得価額、耐用年数などの情報を網羅します。
 これにより、仮に数年後に、大規模改修を行った際にも、既存の固定資産のうちどの部分を除却し、どの部分を残せばよいのかという判断材料となるのです。正確に固定資産台帳を記録しておくことが、節税(固定資産の除却による経費化)を手伝ってくれます。

 

10経営者のための減価償却のテクニック

 

経費をより多く計上するということは節税につながり、税金支出を抑えることでビル経営上の資金繰りも楽になります。

従って、ビルオーナーの節税対策の方向性としては、①減価償却費をより大きく計上する(耐用年数をより短くすることと、ほぼ同義)②修繕費として経費にする(資本的支出としない)③固定資産除却損を計上する、の3つが挙げられます。

以下、各項目ごとに見逃がしがちな減価償却のテクニックを記載していきます。

 

  減価償却費をより大きくする

 

・中古取得資産の耐用年数の特例の適用

 中古取得したビル設備は、新品よりも短い耐用年数で減価償却が可能です。

 具体的には、新規取得時法定耐用年数を基に「残存年数+経過年数×20%」で耐用年数を計算します。

 

・耐用年数の特例

 法定耐用年数はあくまでも税法が画一的に定めた年数であり、個々のビル設備の実際の状況を正しく反映しているものではありません。

 特に空調設備、昇降機設備など使用状況によって実際の耐用年数が法定耐用年数を下回る蓋然性が高い場合には税務署長の承認を得て、耐用年数の短縮の特例を適用することができます。

 

 ビル設備の用途が通常の場合よりも早く固定資産の寿命を縮めている場合には、耐用年数短縮により、現実の固定資産の価値減少を会計処理・節税に反映させることができます。

 

  修繕費として経費にする

修繕工事を行った場合に、その支出を資本的支出とするか修繕費として経費にするかは下記のフローチャートにより判定を行います。

単純に金額が大きいからといって資本的支出に該当するとは限りませんので、注意が必要です。

特に、東日本大震災においては液状化(地盤沈下)からビル設備を復旧させるための多額の工事費用が必要であった地域がありますが、このような工事代金の支出は、修繕費として全額経費計上が可能なことに留意が必要です。

 

  固定資産の除却を経費にする

上記②の項目とも関連しますが、修繕工事により代替設備の取得を行っているにもかかわらず、旧設備の固定資産除却損の計上を失念しているケースが実務上多く見受けられます。

このような事態の原因はほぼ、資産取得時における固定資産台帳の整備状況に問題があります。

ビル設備をその用途ごとに区分せず、漠然と全体の金額でしか管理していない場合には、各設備ごとの金額が把握できず、どの部分を除却すべきかを明確にすることができません。

  経過年数 残存 中古耐用年数
50
41 6 14.2
51 40 7 15
53 38 9 16.6
54 37 10 17.4
56 35 12 19
57 34 13 19.8
58 33 14 20.6
59 32 15 21.4
60 31 16 22.2
61 30 17 23
62 29 18 23.8
63 28 19 24.6
平成 #VALUE! #VALUE! #VALUE!
1 26 21 26.2
2 25 22 27
3 24 23 27.8
4 23 24 28.6
5 22 25 29.4
6 21 26 30.2
7 20 27 31
8 19 28 31.8
9 18 29 32.6
10 17 30 33.4
11 16 31 34.2
12 15 32 35
13 14 33 35.8
14 13 34 36.6
15 12 35 37.4
16 11 36 38.2
17 10 37 39
18 9 38 39.8
19 8 39 40.6
20 7 40 41.4
21 6 41 42.2
22 5 42 43
23 4 43 43.8
24 3 44 44.6
25 2 45 45.4
26 1 46 46.2

 

元高松国税不服審判所長等を歴任された伊藤義一先生の著書

「税法の読み方 判例の見方」によれば、「正当な理由」とは下記と

書かれています。

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「正当な理由」は、胸を張って主張できる理由

「正当な理由」とは、「その事態に陥ることを避けるため、最善の努力を

したが、このような事情の下でこのようになったのであり、自分には

責任はない」と、胸を張って主張できる理由であり、行政罰を免れる場合に

用いられます。「正当防衛」の”正当”とほぼ同じ意味であって、

あることをしたこと、又はしなかったことについて正当性があると主張

できる理由です。主観的な理由ではなく、客観的に誰もが納得できる理由で

なければなりません。
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貸付利息の税務 (通説と本来の理解)

   法人から個人への貸し付け

 → 利息を設定しなければならない。

           → 無利息・低利貸し付けの場合、適正利率との差額が給与課税

           → 契約書がない場合→1.8%で認定課税

           ※国税庁タックスアンサー「金銭を低い利率で貸し付けたとき」

   個人から法人への貸し付け

           → 利息を設定しなければならない。

(しなくてよいという税理士が多い!)

           → (例外として)その無利息貸付に「業績の思わしくない会社に対する経営者責任としての側面」「社会通念上の範囲内の好意的な援助の側面」「倒産等によるさらなる被害拡大を防ぐ側面」「少額で重要性の低い金額」という要素がある場合には、無利息貸付を認める。

※「パチンコ平和事件」でGoogle検索

なぜ曖昧な取り扱いなのか

           →法人税法及び所得税法共に、収益は計上すべき時期に計上することとされており、現実に収受したかどうかを問題としていない。

           →税法条文上、無利息貸付を容認する箇所は見当たらない。

           →税法以前の民法において、そもそも金銭消費貸借契約は無利息を前提としており、利息の有無は自由。

           →その上で、法人は経済的合理席に基づいて行動するという前提から上記①のみに認定課税リスクがあるという解釈・通説が広まっていたが、「平和事件」の裁決例の公表により、税務業界に衝撃が走った。

           →平和事件の当事者は当時の一般的な税務解説書に国税OBの著者の執筆内容として個人の無利息貸付は認められる旨の記載が多かったことを根拠に、重加算税の取り消しを求めるも敗訴。

           (行為計算否認リスクは検討すべきであったと裁判所は判断)

安易に役員貸付金・役員借入金という科目を使わないこと。

 

→本来は、経費精算未払金等の別要因があっても、この科目名を使うことで「利息を要する」と自白していることになりかねない。経理担当者のクセが、課税に繋がってしまうかもしれない。